警察の取り調べにどう対応するべきか
|陥りやすい間違いを解説
警察の取り調べを受けることになったという方からご相談を受ける機会がよくあります。
どのように対応すればいいのか、何を話したらいいのか。
皆さん、有効な対策を求めて訪れてきます。
中には自分なりに対応策を考えている方もみえますが、10年以上、刑事事件を中心に扱ってきた経験を持つ弁護士から見て、そうした方たちが取り調べに対して準備していることはほぼ間違っていると言えます。
この記事では、取り調べへの対応を準備する際に陥りがちな間違いについて解説します。
取り調べは“警察が聞きたいことを聞く場”です
取り調べを受ける上での対応のご相談に訪れる方の中には、こういう話をしようと思っているんですと、ご自身で考えた対策を話される方もみえますが、極端な言い方をさせてもらえれば、誰一人としてその対策が正しいと思えたことはありません。
その理由はどこにあるのか、今までに取り調べを受けた経験のない方であれば仕方のないことですが、そもそも、警察の取り調べがどういうものかを誤解されている方が多いのです。
大体の方は“警察に事情をわかってもらおう”という意識を持って話をしにいこうとしていますが、そこに問題があります。
取り調べは受ける側が話をするために行く場ではなく、“警察側が聞きたいことを聞く場”なのです。
そういった認識を持って臨むことで、取り調べに対応する際の姿勢は変わってきます。
警察は相手を確実に罪に問える材料を得ようという意図で話を聞いています
繰り返しになりますが、取り調べは呼ばれた側が自分の言いたいこと、わかって欲しい事を説明しに行く場ではありません。
警察側は取り調べの対象者を罪に問うための材料が欲しいと考えています。
その時点で、両者はまったく違う方向を見ていることになるのです。
だから、“どうして警察は自分の主張をわかってくれないんだ”と思っても、それは当たり前の話です。
警察は相手の話を理解して受け入れるつもりはないということです。
中には罪を犯してしまったこと自体は認めるけれど少しでも事情をわかって欲しい、警察への印象を良くしておきたいと思われる方もみえますが、そうした意識は必要ありません。
「警察は取り調べの対象者を確実に罪に問える材料を得ようという意図で話を聞いている」その前提をまず理解しておくことが必要です。
聞かれてもいないことまで話そうとすると、逆に怪しまれてしまうことに
取り調べの際に事情を少しでも詳しく説明しようと思って、聞かれてもいないことをどんどん話してしまう方もみえます。
そうすると、逆に警察に怪しまれてしまうことになりかねません。
聞かれた側が質問以外のことをあれこれと話しだしたら、警察としては何か隠そうとしているんじゃないか、何か背景にあるんじゃないかと勘ぐってしまう可能性があります。
ご相談に訪れた方には、取り調べで聞かれた質問には基本的には1問1答のクイズに答える要領を意識するようにと伝えています。
答えるときに、その理由をつける必要はありません。
警察にわかってもらうために色々と話そうとするのではなく、聞かれたことにだけ答えるだけで十分だと考えています。
質問に答える際には自分の記憶にあることだけを話すようにというアドバイスも伝えています。
たとえ記憶違いがあったとしても心配することはありません。
警察から事実を話すようにと言われて、自分の記憶が間違っていたら何かペナルティがあるのではと不安に思われる方もみえますが、後々自分の記憶と違った事実が出てきても、それは記憶違いだったというだけのことです。
取り調べの合間に弁護士に相談することもできます
取り調べ前に弁護士と細かく想定問答をしておいた方がいいのではと考える方もみえますが、想定問答にはプラス・マイナスの両面があります。
想定問答で準備万端だと思ってしまうと、いざ取り調べで想定外の質問が来たときにまったく対応できず、オロオロとした様子を見せてしまうことになりかねないからです。
想定問答を細かく考えておくよりも、“こういうことを聞かれたら困る”という質問について準備しておくことが大切です。
任意の取り調べであれば、いったん弁護士と相談してから答えると伝えても構いません。
取り調べの休憩中に、このような質問を受けたけれどどのように答えれば良いのかと電話でご相談を受けることはよくあります。
また、すぐに答えられない質問を受けたときも、急いで答える必要はありません。
急かされたとしても、誠実に対応したいからしっかりと思い出させて欲しいと言えば良いだけです。
供述調書は必ず自分の目で確認してから署名を
最後に、供述調書への署名のことに触れておきます。
取り調べが終わると、供述した内容を刑事が読み上げ、調書へ署名するように求められます。
このときに、すぐに署名するのではなく、調書に自分で目を通して、供述した通りの内容なのかを確認しておくことが大切です。
少しでもニュアンスが違っていたり、書かれている内容が自分の話した内容と違っていると思ったら、そこは直してもらってください。
たとえば、「◯◯だと思います」と、「◯◯です」と断定している表現では大きく意味が異なってきます。
もし直してもらえないなら署名はしませんという姿勢を貫くようにとアドバイスしています。