示談交渉は弁護士の対応方法によって違いが生じることも

アトム京都法律事務所 > 刑事事件 > 示談交渉は弁護士の対応方法によって違いが生じることも

刑事事件を起こしてしまった方にとって、被害者側と示談ができるかどうかは大きな意味を持ちます。

被害者側と示談交渉が成立することで、不起訴処分を得られる可能性は高まります。

加害者側の方からご依頼を受けた弁護士は示談交渉にあたることになりますが、弁護士のそれまでの経験や個性によっては、示談交渉がうまく進まないおそれがあることをご存知でしょうか。

交渉の進め方が間違っていたり、被害者側の気持ちを推し量ることに長けていないと、せっかく被害者側に示談に応じる姿勢があったとしても逆に交渉をこじらせてしまうことになりかねません。

この記事では、私が長年刑事事件の弁護に携わる中で、弁護士として示談交渉に臨む際に心がけていることをご紹介します。

通常の交渉のような態度で示談交渉に臨んでしまう弁護士も

弁護士から示談交渉を持ちかけられた被害者の方の口コミで、加害者側の弁護士から被害者への配慮に欠けた言い方をされて不快な思いをしたというお声を見たことがあります。

弁護士であれば誰でも同じように示談交渉を行ってくれるものと思われている方もみえるかもしれませんが、実は弁護士の中には誤った態度で示談交渉に臨んでしまうケースも見受けられるのが現実のようです。

 

どうしてそのようなケースが起こってしまうのでしょうか。

ひとつには、弁護士が通常の交渉では交渉相手と対等な立場で交渉を行っていることが考えられます。

その場合でももちろん、依頼者側の主張を相手に丁寧に伝えていくのでしょうが、示談交渉のような相手側への配慮、気遣いは意識していないと思います。

 

そうした対等な立場での交渉に慣れている弁護士が同じような感覚で示談交渉を行うと、被害者側に違和感を感じさせてしまうおそれがあります。

“被害者は弁護士の後ろに加害者を見ている”という意識で

弁護士から連絡を受けた被害者の方は、弁護士との交渉をすんなりと受け入れてくれるとは限りません。

加害者側の弁護士に対して警戒心を抱かれることの方が自然な感情と言えます。

 

最初にお電話を差し上げる際には、そうした警戒心を少しでも和らげられるように、お話ししていただきやすいような話し方、言葉遣いや声のトーンを常に意識しています。

状況的にあまり明るい口調というのもそぐわないのですが、少なくとも硬い印象は与えることのないようにアプローチして、できる限り構えることなく話ができる関係を築いて、少しでもこちらの話しに耳を傾けていただけるように努めています。

 

加害者側の代理人の弁護士として交渉にあたる際には、被害者の方が弁護士である私の後ろに加害者本人の姿勢を見ていることを強く意識しています。

あくまでも弁護士はご迷惑をおかけした側であり、謝罪してお許しをいただく側の立場であることを忘れてはいけません。

 

被害者の方が加害者側に処罰感情を強く抱いている場合であれば、謝罪を受けたとしてもすぐに許そうという気持ちにならないのは当たり前です。

そういう意味では、初めから許してもらうことにこだわるのは得策ではありません。

 

被害者の方が肉体的・精神的被害を受けたからには、まずは補償を受けていただかなければならない。私が示談交渉に臨む際の基本に据えている姿勢です。

 

もちろん、それが結果的に依頼者の方の処分を軽くすることにつながるのですが、それが主たる目的ではなく、被害者の方に補償を受けていただきたいという加害者側の思いを伝えることに重きを置いています。

現状では大きなマイナスの状態になってしまっている被害者側との関係を、少しでもゼロに近づけていくことから始めていきます。

被害者側の事情を詳しく聞かせていただくことで、示談交渉がスムーズに

被害者側の方と連絡を取ることができたら、まずはご事情を聞かせていただくことから話を始めていきます。

被害者として訴えたいことを多く抱えてみえる場合もありますので、まずはお話をすべて聞かせてください。

聞かせていただいたお話はしっかりと加害者側に伝えさせていただきますと。

 

被害者の方がどれだけ辛い思いをされているのかであったり、どのような事情があって、現在の状況がどうなっているのかなど、お話を聞かせていただかないとわからないこともあります。

そうしたことをしっかりと聞き取って、辛い思いをさせてしまったことを謝罪した上で、お話の内容を加害者の方へお伝えします。

 

加害者の方も被害者側の状況、思いを弁護士から伝えられることで反省の念が深まります。

こうした交渉のプロセスを経ることで、次に被害者の方とお話しするときに、加害者側の後悔・謝罪の意思をしっかりと伝えることができるようになります。

被害者側への配慮を欠かさない弁護士にご依頼を

示談交渉は交渉にあたる弁護士に被害者側への配慮が欠けていると、まとまるはずの交渉も思いがけずにもつれてしまうことになりかねません。

それだけ、繊細な交渉能力が求められる場面になります。

示談交渉にあたってもらう弁護士を選ぶ際には、弁護士の雰囲気や話しぶり、交渉に臨む姿勢を確認した上で依頼することをおすすめします。